2023.3.1_学んだこと(贈与、消費貸借)

◆贈与契約

 

1)特徴

①財産を無償で相手に与える契約

片務契約片務契約とは一方にのみ債務が生じる契約。贈与は贈与者に財産を相手に与えるという義務が生じる。

③無償契約。当事者の一方が対価関係となる給付を行わなくてよい契約。贈与だと受贈者は贈与者に利益を与えることはしない。経済的利益を受けるのが一方のみなので無償契約になる。

③諾成契約。当事者の意思表示のみにより成立する契約。

 

2)要件

一方がその財産を無償で相手に贈与するという意思表示を行い、相手がそれを承諾したときに効力が生じる。

※その財産=他人の財産も含む。つまり他人の財産も贈与できる。

 

3)類型

◆負担付贈与契約

3.1)特徴

①受贈者に負担が生じる契約。例えば家を無償であげる変わりに、病院に送ったり介護してくれ、などといった贈与を受ける変わりに、給付を約束する。

片務契約。受贈者に生じる負担と贈与する財産とは対価関係にないため、ここで生じる負担は債務という扱いにはならないみたい。ここはちょっと紛らわしいと感じた。

③上記から無償契約の扱いとなる。

④でも給付は対価関係にないが、有償・双務契約に近いため、贈与者は有償・双務契約と同じく、負担させる限度で双務契約と同じように担保責任を負い、また同時履行の抗弁権なども準用される。

 

◆定期贈与

3.2)特徴

①毎月〇〇円支給するといった定期で財産を与える契約。年金や仕送りなど。

②当事者の一方が死亡したら契約は消滅する。つまり相続の対象にはならないということ。確かにだから当然年金は相続対象にならない。

 

4)パターン

4.1)解除できるか。

①書面によらない場合

 (a)履行前なら各当事者が解除できる。なぜかというと、民法は、口頭だと慎重さを欠いて安易に贈与してしまうことがあると考え、後日の紛争を避けるために解除を認めたということらしい。

 (b)履行完了部分は解除できない。

   ・乙が未成年で法定代理人の同意を得ていなくても解除できない。なぜなら、民法は未成年に優しいが、第5条で権利を得るだけのものは、未成年でも法律行為ができるとあるため。なので贈与は解除できない。

   ・負担付贈与であれば、上記条項に当て嵌まらないので、乙が未成年で法定代理人の同意を得ていないえれば解除できる。

 

②書面による場合

 (a)履行前でも解除できない。

   ・未成年で法定代理人の同意を得ていない場合は解除できる。

 (b)履行完了している部分は書面なしと同様に解除できない。

 

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◆消費貸借

 

1)特徴

①当事者の一方が、相手からものや金銭を借りて、それを消費した後に、同じ種類、品質および数量を返すという契約。

 

②賃貸借と異なり、所有権も引き渡しとともに相手に移転する。

 

③-1)書面によらない場合:片務契約

・なぜなら、引渡したときに効力が生じるため、成立とともに生じる債務が借りた側の返却義務のみだから。

 

③-2)書面※による場合:双務契約。※書面:メールなど電磁的記録も書面と見なす

・なぜなら、各当事者が貸すことと借りることを書面で約すことで効力が生じるため。成立で貸す側には貸す義務が、借りる側には返す義務が発生するから。

 

④無償契約。なぜなら、借りたものを使用するときの利息について規定がないから。民法は消費貸借について貸す側の無償行為と考えている。

※書面でかつ利息を特約している場合は、使用料の給付義務など双方に対価関係を意味する給付を行うことになるため、有償契約となる。

 

⑤-1)書面によらない場合:要物契約

・引渡したときに効力が発生するから。

 

⑤-2)書面による場合:諾成契約。

・引き渡す前、書面で当事者双方が約したときに効力が発生するから。

 

 

2)要件

当事者の一方が、借りる金銭またはその他財産と同じ種類、品質および数量を返すことを約し、もう一方が金銭またはその他財産を相手に引き渡したときに、効果が生じる。

※大体お金の貸し借りが対象だが、一昔前はお米の貸し借りが対象となることもあった。

 

3)類型

◆準消費貸借

3.1)特徴

①金銭やものの給付義務を、消費貸借の返却物に置き換えてしまう契約。

例えば、お店で冷蔵庫、洗濯機やTVなどをまとめて購入し、その支払総額の30万円を消費貸借の返却物とすることで、分割して支払えるようにする。

片務契約。返却義務のみ生じるため。

③無償契約。使用料がないため。

④諾成契約。物の引渡しを要しないため。

 

3.2)要件

金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約すと、消費貸借は成立したものとみなされる。

 

4)パターン

4.1)成立後に解除できるか

①借りる側に限って借りる前であれば解除できる。なぜなら、借主に借りる義務はないため。

また例えば、契約後、借りる前に親がお金を貸してくれたりして借りる必要がなくなった場合、必要のないお金を借りて利息を支払うことになると借りる側が不利益を被るため、民法はそれを不当と考えたんだろうと考察。

ただし、それによって貸主に調達に要した費用などの損害が発生した場合は、貸主は損害賠償を相手に請求することができる。

 

②引渡し前に当事者のどちらかが破産した場合は解除(消滅)となる。

 

4.2)利息の特約がある場合、発生するタイミングは引き渡したときから。

なぜなら、使用料の意味合いだから、使用できる状態になってから発生するのが当然。

 

4.3)前倒しで返せるか

①前倒しで返却できる。ただし、それによって貸主に利息などの損害が生じた場合は、貸主は損害賠償を請求できる。